LM50Cの概要と、LM50C用OSS-ECALの提供についてご紹介いたします。LM50Cは、Texas Instruments製の温度センサ IC(-40~+125℃)です。
MCUインタフェース:ADC
ご注意:このリソースの元の言語は英語です。 翻訳は概要を便宜的に提供するもので、機械翻訳を使用していることがあり、私たちは翻訳の正確性および妥当性につきましては一切保証いたしません。 また、実際の設計などの前には、必ず最新版Datasheetをご参照くださいますようお願いいたします。
LM50C
概要
LM50は、単一の正電源で-40℃から125℃までの温度を測定できる高精度アナログ温度センサです。出力電圧は温度に比例し(10mV/℃)、0℃で500mVのDCオフセットを備えています。このオフセットにより、負電源を必要とせずに負の温度を読み取ることができます。LM50の出力電圧は100mV(-40℃時)から1.75V(125℃時)までの範囲で、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)とのインターフェースを簡素化します。
NTCサーミスタとは異なり、LM50は外部キャリブレーション、トリミング、ソフトウェアによる線形化を必要としないため、単一電源環境における回路要件が簡素化されます。LM50は静止電流が低い(通常約95µA)ため、自己発熱は0.2℃(静止空気中)と非常に低く抑えられており、リモートまたはバッテリ駆動のアプリケーション向けに設計されています。LM50はウェハレベルでトリミングとキャリブレーションが施されているため、長期的な供給性、低コスト、そして一貫した精度を実現しています。LM50B(25℃で±2℃、全温度範囲で±3℃)とLM50C(25℃で±3℃、全温度範囲で±4℃)の2つのグレードがあります。
特徴
- 業界標準センサーゲイン/オフセット:
10mV/℃、0℃で500mV - LM50B 温度精度:
±2℃(最大)(25℃時)
±3℃(最大)(全温度範囲) - LM50C 温度精度:
±3℃(最大)(25℃時)
±4℃(最大)(全温度範囲) - 動作電源電圧範囲:4.5V~10V
- 静止電流(標準):95μA
- 標準SOT23-3パッケージで提供
- 非直線性:±0.8℃(最大)
- DC出力インピーダンス:2kΩ/4kΩ(標準/最大)
大きな容量性負荷の駆動が可能 - UL認定部品
用途
- 携帯電話、PC、ノートパソコン
- データストレージ
- バッテリー管理
- 家庭用プリンターおよび複合機
- 医療機器およびヘルスケア機器
- 空調システム
- 電源モジュール
OSS-ECAL仕様
API関数
OSS-ECALのAPI関数は、基本的に定周期Thread(TASK)から関数コールされることを前提としています。
etSTS oLM50C_START(void)
oLM50C_START関数は、LM50CのAD変換を開始するAPI関数です。
戻り値 | etSTS | OSS-ECALステータスコード | |
eSTS_FIN | 正常終了 | ||
eSTS_ERR_HAL_ADC | HAL ADCエラー | ||
eSTS_ERR_OTHERS_RUN | 他のコンポーネントが処理実行中 | ||
eSTS_ERR_HAL_OTHERS_RUN | 他のアプリケーションがHAL実行中 (STM32F4) | ||
eSTS_ERR_ADC_OBJECT | AD変換オブジェクト選択エラー |
etSTS oLM50C_READ( float32* rlt )
oLM50C_READ関数は、LM50CのAD変換の終了を確認し、AD変換値を読み込み、そのAD変換値を温度に特性変換して、その温度をrltに保存するAPI関数です。
AD変換値から温度変換式
電圧値=(AD変換値×VDD)/(2AD bit)
温度=((電圧値-電圧オフセット値)/ゲイン係数)+温度オフセット値 (Min, Max Limit)
戻り値 | etSTS | OSS-ECALステータスコード | |
eSTS_FIN | 正常終了 | ||
eSTS_ERR_MIN | 最小温度エラー(rltは最小温度) | ||
eSTS_ERR_MAX | 最大温度エラー(rltは最大温度) | ||
eSTS_ERR_HAL_ADC | HAL ADCエラー (STM32F4 Timeout) | ||
eSTS_ERR_OTHERS_RUN | 他のコンポーネントが処理実行中 | ||
eSTS_ERR_ADC_OBJECT | AD変換オブジェクト選択エラー | ||
引数 OUT | float32* rlt | 温度 -40.0~125.0 [℃] |
etSTS oLM50C_START_READ( float32* rlt )
oLM50C_START_READ関数は、LM50CのAD変換を開始し、AD変換の終了を待ち、AD変換値を読み込み、そのAD変換値を温度に特性変換して、その温度をrltに保存するAPI関数です。
AD変換値から温度変換式
電圧値=(AD変換値×VDD)/(2AD bit)
温度=((電圧値-電圧オフセット値)/ゲイン係数)+温度オフセット値 (Min, Max Limit)
戻り値 | etSTS | OSS-ECALステータスコード | |
eSTS_FIN | 正常終了 | ||
eSTS_ERR_MIN | 最小温度エラー(rltは最小温度) | ||
eSTS_ERR_MAX | 最大温度エラー(rltは最大温度) | ||
eSTS_ERR_HAL_ADC | HAL ADCエラー (STM32F4 Timeout) | ||
eSTS_ERR_OTHERS_RUN | 他のコンポーネントが処理実行中 | ||
eSTS_ERR_HAL_OTHERS_RUN | 他のアプリケーションがHAL実行中 (STM32F4) | ||
eSTS_ERR_ADC_OBJECT | AD変換オブジェクト選択エラー | ||
引数 OUT | float32* rlt | 温度 -40.0~125.0 [℃] |
HALサポート
OSS-ECALのHAL対応は、次の通りです。尚、同じHALであってもVerやMCU、開発環境が異なると動作が合わない場合がありますので、ご注意ください。HAL対応は、順次拡大していきます。
メーカ | SDK/IDE ツール | HAL名称 | Ver | HALNAME | Support |
---|---|---|---|---|---|
Arduino | Arduino IDE | Arduino | 1.8.6 | ARDUINO | X |
Arm | Keil MDK v6 | Mbed OS | 6.17.0 | MBED | X |
Debian | – | GNU/Linux | 10.3 | Linux | – |
Infineon | ModusToolbox | mtb-hal-cat1 | 2.4.3 | ModusToolbox | X |
NXP | MCUXpresso SDK | SDK_2.x_EVKB-IMXRT1050 | 2.16 | iMXRT1051B1052B | X |
Renesas | Synergy Software Package | HAL | 2.6.0 | SSP | X |
STMicroelectronics | STM32Cube | STM32CubeF4 | V1.28.1 | STM32F4 | X |
HAL別関数対応表
HALNAME | oLM50C_START | oLM50C_READ | oLM50C_START_READ |
---|---|---|---|
ARDUINO | – | – | X |
MBED | – | – | X |
Linux | – | – | – |
ModusToolbox | – | – | X |
iMXRT1051B1052B | X | X | X |
SSP | X | X | X |
STM32F4 | X | X Time-out time: HAL_MAX_DELAY | X Time-out time: HAL_MAX_DELAY |
開発環境
OSS-ECAL開発時のMCUおよび開発環境は、次の通りです。
HALNAME | メーカ | 開発ボード | MCU | IDE |
---|---|---|---|---|
ARDUINO | Arduino | 1.Mega 2560 Rev3 2.Arduino Pro Mini 3.3V | ATmega2560 ATmega328P | Arduino IDE 2.3.3 |
MBED | STMicroelectronics | STM32 Nucleo-64 boards | STM32F401RETx | Arm Keil Studio Cloud |
Linux | BeagleBoard | BeagleBone Black | TI AM335x | – |
ModusToolbox | Infineon | CY8CPROTO-063-BLE PSoC 6 BLE Prototyping Kit | CYBLE-416045-02 | ModusToolbox |
iMXRT1051B1052B | NXP | IMXRT1050-EVKB | i.MX RT1050 | MCUXpresso IDE |
SSP | Renesas | S7G2 SK | R7FS7G27H3A01CFC | e² studio for Renesas Synergy |
STM32F4 | STMicroelectronics | STM32 Nucleo-64 boards | STM32F401RETx | STM32CubeIDE |
File構成
フォルダ* | ファイル | 概要 |
---|---|---|
LM50C_HALNAME_VERSION/sample | sample.c (.cpp) | サンプル・アプリケーション・プログラム |
sample.h | サンプル・アプリケーション・ヘッダ | |
LM50C_HALNAME_VERSION | oLM50C.c (.cpp) | LM50C用OSS-ECALプログラム |
oLM50C.h | LM50C用OSS-ECALヘッダ | |
LM50C_ARDUINO.ino | Arduino用サンプル・アプリケーション・プログラム | |
oss_ecal.h | OSS-ECAL 共通ヘッダ | |
user_setting.c (.cpp) | ユーザ設定定数・テーブル | |
user_setting.h | ユーザ設定ヘッダ | |
readme.md | Readme | |
OSS-ECAL Terms of Use.txt | OSS-ECAL利用条件 |
* HALNAMEはHAL対応表を参照してください。
OSS-ECAL ダウンロード
OSS-ECALのダウンロードは、英語版OSS-ECALサイトからお願いいたします。なお、ダウンロードを行う際は、英語版OSS-ECALサイトにログインしてから操作してください。
組込み方法
ユーザプログラムに複数のOSS-ECAL(同じMCU機能の電子部品)を組み込む方法
ユーザプログラムに複数のOSS-ECAL(異なるMCU機能の電子部品)を組み込む方法
注意事項
サンプル版OSS-ECALは、優先順位の異なるThread(Task)や割込みで用いることを前提としていません。下記の例のような使い方はしないでください。
例)同じADCグループに各センサーが割り当てられ、優先順位が異なる処理でOSS-ECAL APIを実行すると、正しい値を取得できない場合があります。
ADC Gr0 Ch0 温度センサ AD22100A 100ms周期 Thread(優先順位低)で温度取込み
ADC Gr0 Ch1 圧力センサ MPX5999D イベント割込み(優先順位高)で圧力取込み