D6T-1A-02

D6T-1A-02の概要と、D6T-1A-02用OSS-ECALの提供についてご紹介いたします。D6T-1A-02は、OMRON製のMEMS非接触温度センサIC(-40~+80°C)です。
MCUインタフェース:I2C

ご注意:実際の設計などの前には、必ず最新版Datasheetをご参照くださいますようお願いいたします。

D6T-1A-02

概要

 MEMS非接触温度センサは、測定対象物の表面温度を測定します。D6T-44L-06 は縦横4x4の16 チャネル、D6T-8L-09 は1列8 チャネル、D6T-1A-01/-02 は1チャネル、D6T-32L-06 は縦横32x32 の1024 チャネルのセンサチップを搭載しています。センサチップに専用の後段処理回路を隣接した最適化設計を行うことで、低ノイズの温度測定を実現しています。
 弊社のMEMS非接触温度センサを人感センサとして用いると、従来の焦電センサによる人検出の欠点を解決することが可能です。焦電センサは、赤外線の変化成分を検出する原理上、人が動いていることを検出することは可能ですが、静止時には測定信号を失ってしまいます。これに対して、非接触温度センサでは、静止時であっても測定信号が消滅することはありません。
 MEMS非接触温度センサは、光学設計されたシリコンレンズにより、決められた感度特性を持っています。弊社の非接触温度センサでは、一般的なセンサと同じく、最大感度の50%となる領域角度をFOV(Field of View)として記載しています。
 感度を持つ領域は、FOV 仕様幅よりも広い領域となります。また、測定対象物の大きさが、感度を持つ領域よりも小さい場合には、対象物以外の背景温度の影響が含まれることになります。
 弊社の非接触温度センサは、基準熱源(黒体炉)を用いて温度測定値を補正していますが、測定対象物の材質による放射率の違い、表面形状、感度を持つ領域内の占有率などが、測定値に影響することに留意ください。
 距離が遠くなると、観測する面積(FOV)は広がっていきます。FOV 内での対象物(人物)の占有面積率は、距離に応じて小さくなっていきます。よって距離が遠くなると、測定値に占める割合(影響度)は、対象物(人物)温度よりも背景温度の方が大きくなっていきます。言い換えると、温度を正しく測定するためには、対象物体が、FOVの面積よりも十分大きい必要があります。
 MEMS非接触温度センサを、人感センサとして利用する場合には、温度値のみによる単純な判定では近距離用途に限定されてしまいます。検出距離を長くするために、時間的な変化や熱源の位置、人の振る舞い情報などを元に、ソフトウェア処理によって判定確度を向上させる必要があります。

用途

  • 人検知
  • 食品検知
  • 異常発熱検知

OSS-ECAL仕様

API関数

OSS-ECALのAPI関数は、基本的に定周期Thread(TASK)から関数コールされることを前提としています。

etSTS oD6T_1A02_READ_TEMP( stD6T_1A02_O* rlt )

oD6T_1A02_READ_TEMP関数は、参照温度データPTATと画素温度データP0を読み込み、温度に変換するAPI関数です。

– Step1 Send Command 0x4C (Read Temperature)
– Step2 Check frame validity: CRC
– Step3 Temperature conversion of reference temperature data PTAT (Min=-40.0°C, Max=+80.0°C)
– Step4 Temperature conversion of pixel temperature data P0 (Min=-40.0°C, Max=+80.0°C)

戻り値etSTSOSS-ECALステータスコード
eSTS_FIN正常終了
eSTS_ERR_MIN最小温度エラー(rlt.pn[0]またはrlt.ptatが最小温度の場合)
eSTS_ERR_MAX最大温度エラー(rlt.pn[0]またはrlt.ptatが最大温度の場合)
eSTS_ERR_DIAGPEC CRCエラー
eSTS_ERR_I2C_OBJECTI2Cオブジェクト選択エラー
eSTS_ERR_HAL_OTHERS_RUN他のアプリケーションがHAL実行中
eSTS_ERR_HAL_I2CHAL I2Cエラー
引数 OUTstD6T_1A02_O* rlt D6T-1A-02からの受信データ
float32 pn[0]画素温度データP0の温度変換値 [°C]
float32 ptat参照温度データPTATの温度変換値 [°C]

HALサポート

OSS-ECALのHAL対応は、次の通りです。(順次拡大中)尚、同じHALであってもVerやMCU、開発環境が異なると動作が合わない場合がありますので、ご注意ください。

メーカSDK/IDE ツールHAL名称VerHALNAMESupport
DebianGNU/Linux10.3LinuxX
InfineonModusToolboxmtb-hal-cat12.4.3ModusToolboxX
NXPMCUXpresso SDKSDK_2.x_EVKB-IMXRT10502.16iMXRT1051B1052BX
RenesasSynergy Software PackageHAL2.6.0SSPX
STMicroelectronicsSTM32CubeSTM32CubeF4V1.28.1STM32F4X
開発環境

OSS-ECAL開発時のMCUおよび開発環境は、次の通りです。

HALNAMEメーカ開発ボードMCUIDE
LinuxBeagleBoardBeagleBone BlackTI AM335x
ModusToolboxInfineonCY8CPROTO-063-BLE PSoC 6 BLE Prototyping KitCYBLE-416045-02ModusToolbox
iMXRT1051B1052BNXPIMXRT1050-EVKBi.MX RT1050MCUXpresso IDE
SSPRenesasS7G2 SKR7FS7G27H3A01CFCe² studio for Renesas Synergy
STM32F4STMicroelectronicsSTM32 Nucleo-64 boardsSTM32F401RETxSTM32CubeIDE

File構成

フォルダ*ファイル概要
D6T_1A02_HALNAME_VERSION/samplesample.c (.cpp)サンプル・アプリケーション・プログラム
sample.hサンプル・アプリケーション・ヘッダ
D6T_1A02_HALNAME_VERSIONoD6T_1A02.c (.cpp)D6T-1A-02用OSS-ECALプログラム
oD6T_1A02.hD6T-1A-02用OSS-ECALヘッダ
oss_ecal.hOSS-ECAL 共通ヘッダ
user_setting.c (.cpp)ユーザ設定定数・テーブル
user_setting.hユーザ設定ヘッダ
oHAL_i2c_stm32f4.cSTM32Cube FW_F4用HALプログラム
oHAL_i2c_stm32f4.hSTM32Cube FW_F4用HALヘッダ
readme.mdReadme
OSS-ECAL Terms of Use.txtOSS-ECAL利用条件

* HALNAMEはHAL対応表を参照してください。

OSS-ECAL ダウンロード

OSS-ECALのダウンロードは、英語版OSS-ECALサイトからお願いいたします。なお、ダウンロードを行う際は、英語版OSS-ECALサイトにログインしてから操作してください。

組込み方法

ユーザプログラムにOSS-ECALを組み込む方法

ユーザプログラムに複数のOSS-ECAL(同じMCU機能の電子部品)を組み込む方法

ユーザプログラムに複数のOSS-ECAL(異なるMCU機能の電子部品)を組み込む方法

ユーザプログラムに複数同じ電子部品を組み込む方法

電子部品の入れ替えによるユーザプログラムへの影響低減方法

注意事項

サンプル版OSS-ECALは、優先順位の異なるThread(Task)や割込みで用いることを前提としていません。下記の例のような使い方はしないでください。

例)同じADCグループに各センサーが割り当てられ、優先順位が異なる処理でOSS-ECAL APIを実行すると、正しい値を取得できない場合があります。
ADC Gr0 Ch0 温度センサ AD22100A 100ms周期 Thread(優先順位低)で温度取込み
ADC Gr0 Ch1 圧力センサ MPX5999D イベント割込み(優先順位高)で圧力取込み

OSS-ECAL Japanese
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